【解説】電気自動車にメリットは本当にあるか?
電気自動車に乗ると何が嬉しいの?充電とか難しそうだけど、メリットはあるの?
電気自動車って、ニュースになる割にはあまり走っていませんよね。
本記事ではそんな疑問について解説していきます。
目次はこちら
電気自動車のメリット
電気自動車にはどんなメリットがあるのでしょうか?
大きく挙げると以下の3つです。
- 乗り味がスムーズ
- 静か
- 維持費が安い
乗り味がスムーズ
電気自動車はエンジンの代わりに電気モーターが搭載されています。
エンジンは、その特性上、ブゥンと回転を高くしないと力が出ません。
しかしモーターは回り始めから大きな力を出すことができます。
そのため、特に止まった状態から発進する時には大きな力で加速することができます。
一方で、振動や音がほとんどありませんので、スーっと走り出します。
走行中でもエンジンの振動を感じませんので、とてもスムーズな乗り味を味わうことができます。
静か
エンジンが無いため、音がとても静かです。
走行している時はもちろん、信号待ちなどで止まっている時でも、まるで駐車しているかのような静けさです。
そのため、オーディオなどはとても聞きやすいと思います。
ただ電気自動車であっても、走行した時のタイヤが発生するロードノイズと風切音はありますので、高速道路などではエンジン車とあまり大差ないかもしれません。
維持費が安い
電気自動車は、クルマを所持していることによってかかる維持費は比較的安くなるように設定されています。
まず、エンジンがないためオイル交換がありません。そして、モーターというのは構造自体はとてもシンプルなため壊れにくいのです。
掃除機や洗濯機にもモーターが使われていますが、昔買ったものが信じられないくらい長い期間使えたりする事を体験したことがある方は多いのではないでしょうか?
また日本の税制では電気自動車であれば、大きい車でも2000cc未満の排気量と同等の自動車税で済みます。
このため、電気自動車を持ち続けることにおける維持費はガソリン車より安くなる傾向にあります。
電気自動車のデメリット
それでは、デメリットにはどんなことがあるでしょうか。
大きく分けて下記の3つが挙げられます。
- 選択肢が少ない
- 総合的に見ると高い
- 充電がとても不便
選択肢が少ない
電気自動車に乗りたい!と思ったとしても欲しい車がない、ということがあるかもしれません。
世の中に出て入手できる電気自動車のラインナップが少なすぎるのです。
例えば、日本で良く売れているのはミニバンやコンパクトカー、軽自動車ですがこのジャンルに該当し、入手可能な電気自動車は、2020初現在日本にはありません。
また、自分が欲しいジャンルがあったとしても、気に入ったデザイン、価格、色といった選択における重要な要素の選択肢が少ないということも問題です。
2020現時点では日産リーフ、テスラモデルS、X、3、フォルクスワーゲン e-GOLF、BMW i3、ジャガーi-PACE、メルセデスEQC、ポルシェタイカンといったところが選択肢かと思います。
この中で、500万以下で購入できるのはリーフ、e-GOLFのみです。
驚くべきは、これらほぼ全て5ドアのハッチバックタイプの車なのです。
理由は簡単です。
各メーカー、ある事情に追われて電気自動車を出さなければならず、ある程度売らなければなりません。
そこで、受け入れてもらうためには、利便性ができるだけ高い車になります。
逆に言えば、無難な商品開発をして見込み顧客をできるだけ広い範囲にしたいのです。
結果、皆同じようなボディタイプに行きついてしまうのです。
総合的に見ると高い
維持費が安いというメリットを上記で説明しました。
しかし、電気自動車そのものが高いことと、電気自動車における燃料である電気を充電する際にかかる価格というのも、ガソリンと比べてあまり安いわけではありません。
従って、トータルでかかる金額はお世辞にもお得とは言えません。
電気自動車とエンジン車、両方存在するフォルクスワーゲンのゴルフで比較してみたところ、ガソリン、電費だけで比較しても電気自動車の方が180万円ほど高いという結果になります。
充電の単価はガソリンよりも安いのですが、車両価格差を埋めるほどの効果はありません。
充電がとても不便
実はこれが一番のネックになっています。
電気自動車の話をすると、多くの方は「航続距離が心配」と言うでしょう。
しかし、航続距離というのは本質的な問題ではありません。
いつでもどこでも充電がすぐにできたら、航続距離というのは問題にならないのです。
もちろん、ある程度は必要ですが。
ですが、多くの人が航続距離を心配する本質的な理由は、充電器がどこにあるかわからない、充電に時間がかかりすぎるという2つの理由です。
これが電気自動車の普及を阻む大きな理由になっています。
単純に、不便なのです。
これだけ普及しているガソリンというインフラを使わないで、わざわざ不便な電気自動車に乗る理由がないのです。
電気自動車の充電はなぜ遅いのか?
では、なぜ電気自動車の充電はこんなにも時間がかかるのでしょうか?
理由は2つあります。
- 電気の供給が難しい
- バッテリーに沢山流せない
電気の供給が難しい
1つ目の理由として、電気を早くたくさん流すということが難しいことが挙げられます。
電気自動車のバッテリーを瞬時に充電するための電気を流すためには、今までにはない送電線を引かなければならなかったり、充電器の近くに大きな設備を設置したりする必要があります。
これには非常に多額のコストがかかります。
また、充電するためのケーブルにも理由があります。
ケーブルに電気をたくさん流すと、熱が発生します。
それを避けるためには電線を太くしなければならないのですが、重く、曲がりにくくなってしまうため限界があります。
将来に向けてはケーブルの中に水路を設けて、冷やしながら使用する水冷ケーブルというものも開発が進んでいます。
バッテリーに沢山流せない
2つ目の理由はバッテリーがいきなり沢山の電気を蓄えられない性質があることです。
現在のバッテリーはリチウムイオンバッテリーという種類の電池を使用しています。
これは流したり充電したりする電気の速さに限りがあり、もしその量を超えてしまうと寿命が一気に短くなってしまいます。
寿命が短くなるというのは、蓄えられる電気の量が一気に少なくなってしまうのです。
これを劣化と言いますが、劣化が早くなることを防ぐために電気自動車側で充電の速さを制限しているのです。
世界で電気自動車が増えているのはなんで?
これだけ多くのデメリットがある電気自動車ですが、なぜ世界的にも増え続けているのでしょうか?
ブームとして盛り上がるだけなら、既にブームが過ぎ去っても良いようなものです。
その理由は、全世界で排出ガスの規制が強化されているからです。
特に厳しいのは欧州のCO2排出規制で、各メーカーが販売しているクルマのCO2排出量の平均値を少なくしなさいという規制です。
2021年には1km走行あたり95g以下という規制が施行される予定です。
トヨタの1Lのコンパクトカーであるヤリスの実力が約100gなので、全ての平均をこれよりも下げなければなりません。
もちろん各メーカーにはコンパクトカーだけでなく200g近く排出する高級車もラインナップにあるため、より少ない排出量のクルマを売らなければならないのです。
電気自動車はCO2排出が現状ではゼロと解釈されるので、電気自動車を沢山販売することができれば、平均値を下げることができます。
この規制は今後もさらに厳しくなることが計画されているため、各社が電気自動車を拡大していく流れはしばらく続いていくと考えられます。
今回書いたデメリットが少しずつ解決していけば、あなたも電気自動車に乗る日がやってくるかもしれません。